いくら医師を募集しても、採用どころか応募すら来ないというケースが多く、嘆く病院は多い。また、医師だけでなく最近は看護師の不足まで深刻さを増してきている。特に各地の医療機関は、人材獲得に翻弄しているのだ。人がなかなか集まらず、病院側から苛立ちを含んだ催促を受ける板挟み状態なのである。

また、看護職に関しては、資格を有するも看護職にはついていない潜在ナースが相当数いると言われ、結婚に伴う退職や、過酷な現場から他業種へ転職する者、資格は取るも看護職には就かない者いろんな人が存在している。そんな人たち復帰を目指し、勤務体系や給与・優遇面などを手厚くして働きやすさを改善・アピールする工夫が度々みられる。しかし、それでも反響はあまり思わしくないのが現状である。要因として考えられるのは、看護師の業務が重労働であるという点が挙げられるだろう。また、時代の移り変わりに伴い仕事に対する考え方が変化しているのも要因かもしれない。生命を預かる仕事として奉仕の精神を持つよりも、まずは自身の生活・人生を大切にしたいと思うのも人として当然のことである。

医師の求人紹介会社では、ごくたまに医師だけでなく看護師も受け持っているところがあるようだ。就職は無理でも、今日では医師のアルバイトという働き方も出てきているそうで、夜勤なし・入院患者を診なくともよい外来診察の業務のみ希望など、応募条件は昔と違い、すそ野を広げていると言えるだろう。もちろん、クリニックならばあり得る条件ではあるが、病院ともなると、どれだけ妥協したとしても業務が回らないため不可能に近いというのはあるだろう。

「病棟業務」をめぐる病院の要望と応募者の希望という双方の意識のずれが、ある意味医師や看護師不足を生み出している点なのかもしれない。求人を出す側と応募する側両者に妥協してもらう点など折り合いを見つけられるかどうかがカギとも言えるだろう。